傘をさし続ける男・・・

 

〜第二章『雨の中一人たたずむボク』〜

 

〜雨は降り続ける、そして雨の中一人たたずむボクが居た。

今も昔も変わらない・・・空前絶後・・・ボクが生まれたこと自体。

けれどボクはたたずんだままここから離れられない。

黒い雨、青い雨、黄色い雨、そして赤い雨。

ボクの言葉は雨の音の中に消されてしまう。けれど遮断機は上がらない。

キンコン・キンコン・キンコン・キンコン・・・ 上がらない遮断機、

そして上がらない雨。全ての色は混じり合って溶けていく。

ボクの目の前、けれど誰も気が付かない。

傘は何本も要らないよ、これ一本あれば誰だって、どんな動物だって、

そしてどんな植物だって入る権利はあるのさ。ただ誰も入ってきてはくれない。

ボクの傘はちょっとだけみんなの傘より小さいのかな。けれどボクはこれで十分。

もしもあの子がこの傘に入ってくればきっと僕等は肌と肌が触れ合うのさ。

いつあの子が来るのか楽しみだな。

ピチピチ・チャプチャプ・ランランラン・・・ 雨は降り続いている。

そしてその雨の中一人たたずんむボクが居た。

雨の中一人たたずんでいる孤独なボクだけがいた〜