傘をさし続ける男・・・

 

〜第三章『出会い』〜

 

〜雨は降り続ける、何もかもを洗い流す様に。時は静かに脈を打つ、

ドクンドクン・聞こえるかい? ボクの鼓動を微かな音を。

雨は降り続ける、時には激しく、時には悲しく。

春の雨、夏の雨、秋の雨、そして冬の雨。

季節は移り変わるけれど、ボクは何も変わらない。ただこの場所でキミを待っている。

キミを受け入れる準備はもう出来た。後は君が来るのを待っているだけ。

キミは一体いつボクの所に来てくれるの?

ボクの鼓動は段々段々不安に変わっていく、

春の雨、夏の雨、秋の雨、そして冬の雪。季節と共にボクの心も変化する。

雨が白くなって、そして積もっていく。

ボクの傘の上、ボクの体の上、そしてボクの心の中に。

淋しい街の風景はモノクロに変わっていく。セピア色ではもう昔話も語れやしない。

ああ諸行無常の風が吹く。

ボクの人生の小ささ、キミの存在の大きさ、僕等は一体何処で結ばれているの?

風は吹く、雨も降る、ボクは小さな傘でキミを待つ。

僕等は一体何処に共通点があると言うの?

風の日も、雨の日も、ボクは震えた体でキミを待つ。

抱きしめ合えば全ての時が止まると言うの?

キミと愛し合えばボクは救われると言うの? 誰か教えてくれないか?

僕等は一体何処に向かっているのか?

夢なら覚めないでおくれ、現実なら偽らないでおくれ、

ボクがキミと出会う事は偶然じゃないんだ。

ボクがキミと出会うのはきっと運命なんだよ。

だって僕等は二人ぼっち、風が吹くまま雨に身を任そうよ。

だって僕等は運命という赤い糸で確かに結ばれているのだから・・・〜