傘をさし続ける男・・・

 

〜第五章『小さな旅 』〜

 

〜さあ、小さな旅に僕は出よう。ボクの小さな旅はもう始まった。

けれどボクの傘はとっても小さいからキミまでは入れないね。

ボクの船はとっても小さいモノだからキミまではきっと乗れないね。

だからボクは一人で旅に発つのさ。小さな傘と小さな船と小さな勇気を持って。

キミは絶望的な悲しみの産物を見たことはあるかい?

キミは絶望的な空を見たことはあるかい?

ボクの心の中の精神世界は絶望的な悩みが溢れ出している。

だからボクは小さな船で旅に出るのさ、キミが眠りについている間に。

波は穏やかな時もあれば、荒れ狂う時もある。

ボクの船は本当に小さいものだから波に飲み込まれてしまう事もあるだろう。

けれどボクは旅に出る。自由は意識の中で消えてしまう。

愛は感情の中で見失われてしまう。藁を握っても無駄な様に。

キミは夢の中で一体何を願うの? ボクは小さな船で一体何処に向かえばいいの?

雨は少しずつボクの船の中にたまっていく。だからいずれボクの船は沈んでしまうね。

所詮ボクの船はノアの箱船には成れやしない。

だから辿り着くか沈んでしまうか、選択肢はいつでも二つしか存在しない。

一体ボクはどちらを選べるのだろうか? 一体ボクは何を見たのだろか?

船は沈みながら、そして流されながら少しずつ進んでいく。

一体ボクは辿り着けるだろうか? 真実という目的地に・・・〜