月を追いかけて |
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第三章 『自由への扉』
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自由への扉。確かに僕にはそう見えた。 森羅万象なんて何の意味も持たないから、何かにしがみつこうとした。 けれどそのセピア色の虚像は音を立てて壊れて割れた。 -パキパキ・メキメキ・ピリピリ・パリン- 遠いから追いかけた。大きいから真面目だった。強いから必死だった。 けれどそれは壊れて消えた。そしてそれは今、七色のかけらと成って散らばった。 もはやこの街には自由の女神は存在しない。 東京タワーがバベルの塔に成りえなかったように。 レインボーブリッジもまた、虹の架け橋には成れやしない。 僕らを操る国会議事堂でさえ、 この欲望が作り上げた高度成長期の波の前では罪人の吹き溜まりと化している。 そしてその全てを司る法の下に作り上げられた裁判所すらも、 弱き人々を誰ひとりとして救えやしない。 何かが違う。何かが。全ての偶像は音を立てて崩れて燃えた。 -グラグラ・メラメラ・バキバキ・ガシャン- 一体その陰で笑っているのは誰? 本当に裁かれなければ成らないのは誰? 罪の無い子供達はみんな泣いているよ。 -オギャーオギャー・シクシク・ミャーミャー・エーンエーン- 平和は何処にあるの? 自由は本当にあるの? 人が人を裁く事なんて出来るの? 人が人を操るなんておかしいよね? 人の自由や夢を奪う事なんてあるはずが無いよね? 僕達は何故生まれて来たの? みんなは一体何処に向かうと言うの? あっ危ない! その扉の先は崖だよ・・・。 |