月を追いかけて

第四章 『静寂と闇の中で』
 
静寂と闇の中で。

-ダッダッダッダッ・・・静寂・・・ハッハッハッハッ・・・静寂・・・-

静寂と闇の中で

-ゴロンゴロンゴロン・・・静寂・・・ゴロンゴロンゴロン・・・静寂・・・-

静寂と闇の中で僕が見たモノは・・・・・・・・・・・・・・・・孤独だった。

とっても寒かった。とっても淋しかった。限りある一つを求めて、限りない全てを失った。
僕は誰一人居ない、何一つ無い部屋で一枚の白いシーツにくるまっていた。

窓から差し込む一筋の月明かりは、静寂と闇との境界線。 目を凝らしてみても、
見えるモノは何も無い。  どれだけ耳を澄ましてみても、聞こえるモノはやはり何も無い。
ただ月明かりだけが僕の道しるべ。  夢追い人の道しるべ。

だから僕は君を求めた。レモン色の君を。ねえレモン色をした彼女、僕に愛をくれないかい?
そして僕を優しく抱きしめておくれ。偽りが僕を壊すのなら、真実はきっと君を守れるはずさ。
静寂と闇とが孤独なら、孤独と孤独はきっと愛の始まりなのだから。
だから僕を優しく包んでおくれ、僕も君に優しく愛を注ぐから。

-ハーハーハーハー・アーンアーンアーンアーン・ドクドクドクドク・ウッ-

レモン色の彼女は僕を優しく包み込んだ。白い僕は彼女の胸の上、お腹の中で夢を見た。
そして二人は溶けて混じった。白とレモン。まるでカスタードみたいだ。

静寂と闇の中で僕が見たモノは、月明かりに照らされた二つの陰。
静寂と闇の中で僕が見たモノは、解け合う二人を照らす青い月。
静寂と闇の中だから僕に見えたモノは、僕の道しるべ。

そう夢追い人の道しるべ・・・。