月を追いかけて

第五章 『名も無い駅』
 
僕の乗った銀河の鉄道は、幾時代をも旅をして、いろんな星を通り抜け、
そしてこの名も無い駅に着きました。

-デュィィィーン・シュシュシュシュ・ポーーーー・プシューーー-

全ての名前に意味が無かった様に、この駅にもやはり名前なんて存在しなかった。
そして名も無い駅には、名も無いカスタード色の子供が立っていた。
一体この先どんな色に塗りつぶされてしまうのだろう。カスタード色の子供よ。

君はまだ篭の中の小鳥の様におびえているね。けれどそんなにおびえる事は無い。
君が思う程、この世はそんなに恐いモノばかりじゃ無いのだから。

さあ今扉を開けるよ。

-ガチャガチャガチャ・カチャン・キィィィー-

子供は不安げに檻から飛び出した。たった一人の孤独な旅へ。
けれど子供よ。不安がる事はない、それがお前の人生なのだから。

そして一人残された僕は、名も無い駅にたたずんで、金色の砂漠を見つめます。
今宵月夜に照らされて、七つの海を思います。

欠けた月は僕の体。月のかけらは僕の心。砕けて散った僕の夢。
僕は賢者と成って、月のかけらを探します。青い月を追いかけて、夢のかけらを探します。
灰色の街も、紫の工場地帯も、黄色い欲望の世界も通り抜け、僕は夢のかけらを探します。
愛する者達よ。何故ならばそれが僕。

それが僕の運命なのだから・・・。