太陽を追いかけて |
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第一章 『歪んだ太陽』
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俺は歪んだ朝の太陽の光によって覚醒された世界から目を覚ます。 何もない今日は、何もない昨日と同じ様に、 何もない明日への行程の一部にしかない。 真っ白な世界の中では俺もみんなと同じ様に、 この規律社会の為の油の切れかかった歯車の一部にしか成らないのかもしれないのだろう。 眩しすぎる朝日の中では現実はやけにリアルに写る。 そして時計の針は決まって俺の二時間遅れで現実の始まりを告げる。 ジリリリリ・ピピピピピ・キンコンカンコン そうなれば俺は俺で無くなり機械の一部となる。 鏡に映る男は俺によく似たアンドロイドなのかもしれない。 けれどそのアンドロイドの笑顔は俺の何倍も人間らしい。 真っ白なワイシャツ、派手なネクタイ、 意味のないスーツ、 そして心を金庫に仕舞って鏡の前で仮面を着ければ、目の前の鉄の扉を開ける鍵が手に入る。 もう昨晩の悪夢や現実逃避の旅は終わった。 俺は朝の不快の光りに背を向ける様に歩き出す。 そして全ての騒音や雑音は俺の体の皮膚にしみ込んでくる。 コツコツ・ブーンブーン・ガーガー 俺は右の足を前に出す、そしてそれに連鎖反応する様に左足が前に出る。 ただそれだけを繰り返す。そしてそれはやがて早くなり俺は走り出す。 追いかけて行くのか、追われているのか分からないままに・・・。 宛は無いけど、行く場所は分かっている。希望は無いけど、ノルマはある。 だって俺はこの資本主義社会が作り出した機械の一部なのだから 夢を許されない機械の一部なのだから・・・・ |