太陽を追いかけて |
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第二章 『狂気と錯乱』
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朝の満員列車に揺られていると、俺は時々孤独を感じる。 けれどそれは俺だけじゃないはず、この不快に揺れる振動の中では人は誰もが孤独なんだ。箱には無理矢理詰め込まれているけれど、触れ合う肌の温もり以外、結局何も知らない他人同士なんだ。 だから俺が吐く溜め息さえ誰も拾ってはくれやしない。 何かが足りない、何かが違っている、それは分かっていたこと。 けれどその何かは誰も分かる者は居ない。 ゴトンゴトン・ガタンガタン・ピピピピピ・プシュー 俺はホームに吐き出される様に摘み出される。そして狂気が錯乱した街で取り残される。もはやスーツは身を守る鎧では無く、鞄も盾には成らない。 この街で生きて行くにはやるかやられるかしか残されてはいない。 俺は燃え尽きる太陽に向かって叫ぶ、けれどその叫びは錯乱した狂気の中に消されてしまう。それがこの街で、それがこの街の法律なんだ。 ウオオオオ・ガオオオオ・ワオオオオ・タスケテクレー もう何も残らない。ただ抜け殻だけが灼熱の太陽の中でひからびていく。 俺はそんな中で生まれ、そして歩いて来た。もう後戻りは出来ない。 やるかやられるか、ただそれだけがこの世界に残された唯一のモノだった・・・ |