わがままネコちゃん


あれはたった10日間くらいの出来事だったね
僕が街角で飼い主に捨てられ 泣いている君を見つけたのは

当時の僕は仕事も無く 名も無いただの詩人で
君は淡いピンクのキャミソールの似合う ちょっぴりわがままネコちゃん

僕のオンボロアパートは全く似合わない とっても毛並みの綺麗な
ちょっぴり寂しがり屋のわがままネコちゃん

あれもイヤ これもイヤ だから君は僕にはちょっぴり生意気なわがままネコちゃん

可愛げもない 懐きもしない でもだけどとっても愛しいわがままネコちゃん

君はネコのくせして高級なキャットフードじゃなく ましてや高級な住み家でもなく
ただ純粋に愛情だけを欲しがっていたね
誰かを愛し そしてその誰かから心から愛される幸せだけをずっと夢見ていたね

そんな純粋な君に 僕は愛おしさ感じたよ

もしかしたら君となら
君だったらずっと一緒に暮らして行けるかな? なんて事すら考えてしまったよ

だけど当時の僕には君を飼う(養う)程の経済力も無ければ
ましてや君に懐(なつ)いてもらえる程の人格(魅力)すらも無かった

だからごめんね
君のわがままずっと聞いていてあげられなくて・・・

たった10日間位の生活だったけれど 僕は君に一生分くらいの思い出もらったから
一生分くらいの幸せもらったから だからやっぱり ありがとう

君が本当の飼い主の元に戻る日の朝 君を優しくギュッと抱き締めたのは
やましさやイヤらしさなんて全く無く
本当に純粋な僕の誠実な気持ちと感謝の気持ちだってことに
きっといつの日か気付いてね

 

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