幸せの四葉のクローバー


僕はある場所に咲く幸せの四葉のクローバーを手にする為だけに旅立った
厳しい山を超え そして激しい谷を抜け 茨の道も死に物狂いで走り去り
そしてその幸せの四葉のクローバーが咲いていると言う
断崖絶壁の前まで辿り着いた

でも正直この断崖絶壁を登るのは命懸けの行為
例え仮に登り着いたとしても
そこから下りるのは限りなく不可能に近い場所

・・・登るのも命懸けなのに 下りて来るのは限りなく不可能・・・

そんなような場所に幸せの四葉のクローバーはあった

今まで僕は幸せと言うモノを知らなかった
だから僕はどうしてもその幸せの意味を知りたかった
だからここまで苦しんでも生きて来た

そしてその登るのも命懸け ましてや下りて元の場所まで戻って来るのは
殆ど不可能なそんな場所に幸せの四葉のクローバーはあった

だから僕は何のためらいも無く全ての荷物をそこに置き去りにして
その命懸けの崖を一歩一歩慎重に確実に登り始めた

そして僕は46時間何も食べず飲まずに 
なんとかその幸せの四葉のクローバーが咲き乱れている場所に辿り着いた

もう正直戻る事なんてもう考えて無かった
登るが為に負担な荷物を捨て軽くした
だから食料も飲み物も全て置き去りにして来た
だから体力的にも戻ることはもう不可能
だから僕はその幸せの四葉のクローバーの所で横たわった
何一つ汚れの無い周りの綺麗な景色
そして見上げた空の透き通ったような青空
そんなコトですら僕は 今までに感じた事も無かった程の幸福感

周りに幾つかの死体があった でもどれもみな幸せそうな死に顔で
その死体の所々から幸せの四葉のクローバーが幾つか咲いていた

僕はきっと生まれて初めて幸せを手に入れて そしてそこでそのまま死んで行く
まるで死ぬ事で幸せや
本物の自由を手に入れられることが出来る 寂しい男のように

僕はそっと目を閉じた そこは限りなくの幸せがあった
夢にまで観た好きだったあの娘と結婚する光景や
仲間達と熱く夢や愛を時間を忘れて一晩中語り明かす光景や
小さな子供達と一緒に楽しく戯れる光景等
自分が描けるあらゆる幸せの光景
まさしく真の平和と自由のパーフェクトワールド

そしてこの僕はほんの少しやっと幸せの意味を理解出来た気がした

そして僕はこの時 この場所でなら最期の瞬きをしても良いかな?
と心から思い そしてゆっくりとそっと目を閉じた

もう僕の目は開く事は無い

けれどきっと僕は幸せになれたんだ
やっと やっとだよ やっと僕は幸せを手に出来た気がしたんだよ

例えそれがこの尊い僕のこの命と引き換えだったとしてもね・・・

・・・幸せ・・・
それはモノではなく感じるコト
きっとそれは状態では無く 心のあり方を言うような気がしました・・・

 

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